System‐H3(エイチキュービック)= Hen Housu Heating system  「システム特許出願中」

遠赤外線暖房による育雛舎無風暖房装置


育成光線により舎内全域の温度を均一化できます

コンダクションチューブから放出される輻射熱(育成光線)と伝導熱は、通常の空気熱交換型暖房と同様に空気を
暖めると共に輻射熱が鶏舎内の水蒸気に反応し、その熱伝播により温度分布を均一化するとされています。

通常暖かい 空気は上部に滞留し、上下間温度差が大きく測定されます。また、空気の対流のより冷たく重い空気が
鶏舎下部で滞留するため、ケージ下部と上部との成長には明らかな差が発生し、オールイン・オールアウトができ
ません。
そのため一般的には、強制的に舎内空気を攪拌し、上下温度差を少なくする方法が用いられますが、その空気の動き
により舎内の環境は埃や病原菌を舞い上げ、決して生まれたての雛にとって決して良い状態とは言えません。

System-H3は、空気を攪拌することなく自然対流で舎内の温度環境をほぼ一定にする事が可能です。
特に弱い生まれたての雛に対して大変良い飼育環境を作り出すことができます。


燃料の消費量削減も現在大きな問題ですが、長期間飼養する採卵鶏の場合、餌の消費量削減も大きな課題です。
冬期間中の鶏舎内温度は、寒冷地域における場合だけですが、鶏自身の体温で20℃を保てない場合、餌の要求率が
極端に増加することは経験があると思います。
今後は育雛舎だけでなく、成鶏舎においても卵価の原価をコストダウンするためにC-tubeを利用することも検討して
います。

成鶏舎の場合、育雛舎暖房ほどのC-tube本数は不要ですが、どれくらいが適正か?今後も研究をすすめていく計画
です。

温度と環境

一般に温度とは空気分子の運動量を示す数値で、環境の状態をあらわしていません。
現在、欧州では
ISO7730スタンダードにより「温熱快適性とは・・その温熱環境を満足とする心の状態」と定義
されています。
この温熱快適性を評価するのは非常に複雑で、適温に保たれた室内に静かに過ごす人と零下環境の中で太陽からの
輻射熱を浴び薄着で運動している人を例に取りその二人の間に快適性の違いが無いということを一例として表現して
います。
これは温熱快適性が例えば「空気温度」というただ1つの物理的要素だけの影響を受けるのではなく、多くの物理的
要素が複雑に影響しあい快適性を築いているということを気づかせる例となります。

コンダクションチューブは、その特異な熱伝達方法により後者の快適性を作り出すことが可能な熱源です。





一般的な計算によるボイラーの1/3〜1/4の出力で設計できます。

熱交換式温風ダクトによる暖房や床暖房で設定されるボイラー出力より小型なボイラーでシステムを作ること
ができます。
ボイラー出力が小く、空間に伝える効率が高いことはそのままランニングコストの削減にもつながります。
ただしコンダクションチューブ自体の放熱する熱量はそれほど多くはありません。よって建物自体の断熱性能
に左右されたり隙間風の進入による影響を受けることがありますので、用途に適切な建物構造を要求します。

北海道早来町の育雛舎では、ガルバ+ウレタンの断熱ボード(50ミリ厚)を使用しました。
ボードの接合部はコーキングを施し、隙間をできるだけ少なくしました。
これら対策を行った結果、
間口962mx奥行き90mx高さ5.4mの60.000羽飼養育雛舎を
75.000kcal/h=一基で外気温−20℃時に室内温度を33℃に加温する事ができました。

消費燃料は立ち上がり時は1日=160リットルほど消費しますが、設定温度に達した以後は1日=70L〜
90Lの消費量を計測しました。


(建物の構造や断熱材・換気方法により、必要な熱量(暖房負荷)と設置するボイラーはその都度計算し設定
します。特に大切なのは、建物自体の気密性です。K値・C値で計算を行いますが、建物性能の良し悪しが燃料
を無駄にしない一倍大切な条件です。計算に対するお問い合わせは、遠慮無くお申し付け下さい。)






設置が簡単で工事費を大幅削減します。

システムの基本形では舎内の育雛ケージフレームを利用したり、建物に取付小物を後から取りつけること
でコンダクションチューブを設置します。簡単に短時間で工事が完了し、工事費が少なく済みます。

一部温水配管を舎内内側に向かい設置することになりますが、事前埋設工事にするかU字溝内に転がし配管で
上蓋をするか、それぞれのお客様の使い勝手の良い方法で行います。






舎内湿度管理も簡単に行うことができます。

コンダクションチューブによる輻射熱により舎内の空間はもちろんのこと建物自体や床面も暖められます。
湿度管理は床面に水を打つことで蒸発し簡単に行うことができます。

また湿度の維持は強制対流による蒸発乾燥よりゆっくり進みますので、散水作業も一日に何度も行う必要
がありません。

極寒冷地の場合不凍液を使用するので難しいですが、ボイラー自体を耐火構造のボイラー室を鶏舎内に設けるこ
とで温水配管の一部を利用して温水自動散水装置を設けたりするのも作業効率を高める方法です。



舎内の温度調整

ボイラーの沸かし上げ温度の調整や温度調整コントロールパネルにより舎内温度が設定温度になると循環
ポンプが停止し温度が低下すると再運転する事で一定の舎内温度を保つよう機械的に自動制御します。

室温管理は簡単に設定温度のつまみを希望温度に変更するだけで済みます。また、温度を降下させる場合
は、設定温度のつまみを低く設定するか、バッフルや吸気口の開閉により外気を取り込むことで調整する
事が可能です。

ケージシステムを販売されているメーカー様では、独自のシステム制御盤をラインナップしています。
このシステムとも連動することが可能なように当暖房システムの制御は簡便に作られています。


余熱時間に関して。
コンダクションチューブ以外の暖房方法で行う場合のデータが少なく正確な比較にはなりませんが、比較的
外気温の高い時期の余熱期間はおおむね1−2日で完了します。
極端に低い時期は鶏舎自体が冷え切っていて、建物に熱を奪われてしまうため3日ほどを目安に余熱期間を
設けますが、それぞれの農場で異なる建物条件や気象条件の為、導入1年目には十分余熱期間を持って2年
目以降に備えていただきますようお願い申し上げます。
更に効率よく使用するには、アウト後の次回入雛までの期間、設定温度を低めにして使用し極端に建物自体
が冷え切らないようにすると余熱期間は更に短く出来ます。